番外編 溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を



 「旦那相手じゃくても体は反応するんだ………」
 「ちがっ………」
 「………人妻を抱くのは初めてだな。背徳感があって、面白そうだ」
 「………や………やめて………りょ……さん……」


 スカートが捲られ、花霞は目をギュッと瞑った。彼に助ける声が出てしまう。
 やはり自分一人で解決する事も、蛍を説得することも無理だったのだ。
 しかも相手は武器を持っていた。その恐怖に勝ちたいと思ったけれど、間近で見ると体がすくんでしまうのだった。始めは我慢していたけれど、相手が冷静さを失い、怒りをぶつけてくれば、本当に何かされてしまうのではないかと危機感を感じてしまう。
 そして、今は彼を守ると言ったのに、それが出来ずに蛍に襲われてしまっている。

 椋も守りたい…………そして、蛍も。
 そんな欲張りな考えがいけなかったのだろうか。

 花霞はギュッと目を瞑った。
 
 蛍がスカートを捲る。すると、ガタンッと何かが床に落ちる音がした。
 蛍は不思議に思い、床に落ちたものを見た。そこには、暗い部屋に淡く光るスマホが落ちていた。
 花霞はハッとして目を開いた。それは花霞がスカートに入れていたスマホだった。

 蛍は花霞を睨み付け、「スマホ持ってきてたのか?!………くそっ、これじゃ居場所が………」と、スマホを取り上げて投げようとした。


 「遅い」
 「なっ!!」


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