番外編 溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を
3話「2人の朝」





   3話「2人の朝」




    ★★★



 いつもよりゆっくりな朝の時間。
 椋が目覚めると、愛しい彼女はまだ自分の腕の中で眠っていた。
 布団から見える鎖骨には何ヵ所か赤い跡がある。それは自分がつけたものなのに、昨夜は夢中になりすぎていたのか、余裕がなかったからなのか、ほとんど記憶になかった。
 花霞の目元も、ほんのりと赤くなっており泣きはらしたのがすぐにわかる。自分が泣かせてしまったというのに、それでも彼女は椋に寄り添い安心した様子で熟睡してくれる。
 そんな花霞と朝を迎えられるのが、どれだけ幸せな事か。ここ数年でそれをひしひしと感じていた。



 最近は椋と花霞の仕事が思った以上に忙しくなり、結婚式を挙げたというのに、彼女と甘い時間を過ごせる時間は短かった。
 そのため、椋もそろそろ限界にきていた。
 花霞との時間が圧倒的に足りなかった。彼女不足で寂しさから倒れても仕方がないのではないかと、真剣に思うほどだった。
 そのため、花霞が自分を待っていてくれ、そして欲していてくれたのが、堪らなく嬉しかった。彼女も同じ気持ちだとわかるのが、幸せなのだ。


 そんな彼女を久しぶりに感じられた昨夜は、何回求めてしまったか。自分でも曖昧なぐらいに、花霞に夢中になっていた。
 彼女を手に入れてからというもの、花霞を知れば知るほどに夢中になってしまっていた。もっと花霞を知りたい。自分と同じように夢中になって欲しい。俺だけの物でいて欲しい。


 そんなドロドロとした束縛心を椋は感じてしまった。


 「こんな俺のどこを君は愛してると言ってくれるんだろうね?」


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