番外編 溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を



 ある日の午前中。
 栞の突然そんな事を話し始めたのだ。
 考えもしていなかった事に、花霞は驚いてしまった。

 自分が独立して店を持つ。
 そんな事はありえないと思っていたし、花が好きだから花と関われる仕事ならばこのままでもいいと思っていた。


 「そうなの?まぁ、結婚もしたし、そのうち子どもってなったら難しいかな」
 「こ、子どもっ!?」
 「え………考えたことなかったの?」
 「そ、そんな事はないけど………あんまり人に言われなかったし」


 また、驚きの発言をされて花霞は声をあげてしまう。けれど、栞はいたって普通の調子で話をしてくる。けれど、結婚したから子どもは、という考えは当たり前なのかもしれない。

 それに、花霞自身も彼との子どもを考えたことがなかったわけでもない。
 2人の子どもが出来たら、とても素晴らしい事だし、絶対に親バカになるだろうなと思っていた。けれど、彼からそんな話しをされたことはほとんどなかった。椋は今はとても忙しい時期なのでそんな事を考える暇もないのだろう。


 「子どもかー………」
 「花霞と椋さんの子どもなんて、スッゴい、可愛いだろうなぁー。私も可愛がりたいよ。あ、ここに子ども連れてきて仕事してもいいからね。もちろん、休んでもいいし」
 「もう!気が早いって!」
 「ははは。まぁ、独立も子どもも私は賛成だから何でも相談してね」
 「うん、ありがとう」


 優しい上司であり、親友がいて自分は本当に恵まれている。そんな風に花霞は感じて微笑んだ。



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