若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
「ミクの彼、お金持ちなんだって?」

「うん。そうみたい。あのバッグも彼にもらったんだって」
「へえー、いいなぁ」

ここは女子大だ。
通りには恋人を迎えに来たらしい男の子たちがチラホラと見える。

ミクの恋人もその先のカフェで待っているらしい。

「かたや、バイト。かたや、デート。世の中不条理だ!」
頬をふくらませる夏梨を見て、向葵はアハハと笑う。

でも、実際のところその通りだと思った。
世の中平等なことなんて、あまりない。

試験に合格し、入学金と授業料を払えば等しく授業を受けられるとか、そんなことくらいだろうか。

学生生活の送り方となると、それはもう千差万別だ。
奨学金を借りて、生活費を自分で稼がなければいけない向葵は、授業以外の空き時間をアルバイトに充てなければならない。

夏梨は奨学金を借りてはいないし多少の仕送りもあるが、その仕送りは家賃で消えてしまうので、やっぱり働かなければいけない。

ミクの場合はというと、彼女の実家はとても裕福なので、親からのお小遣いもたっぷりともらっているし、
彼からのプレゼントという臨時ボーナスまであるのだから働く必要はないし、デートをする時間もたっぷりとあった。

三人三様まったく違う。
やはり、世の中不条理だ。

自分の力だけではどうしようもない。
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