若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
そう安堵して、ホッとしたのも束の間。
彼は、大きく頷いた。

「その通り。
 彼女と結婚したい。
 そのための方法を、至急考えてほしい」

明瞭にそう言うと、彼はゆったりとひじ掛けに腕を預け、長い足を組む。

その足先ではオーダーメイドであろう黒革の靴が、
艶めいた鈍い光を放っている。


――嘘でしょう?

驚きのあまり硬直した佳織は、目で彼の瞳に問いかけた。

『悪い冗談ですよね?』

心の訴えに合わせて小首を傾げ、可愛げに微笑んでみせたが、彼の瞳は冷ややだ。

ただジッと見つめ返す。

その目が口ほどにものを言った。

『冗談ではないよ』と。
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