若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
『私、意地っ張りだから同情なんてされたくないって何度も突っぱねたの。そしたらあの人ね、『お前の人生は俺が買ってやる。大人しく俺に買われておけ』って。私の人生はそんなに安くないって言ってやったけど、全部整理してもらって、父の入院も何もかもきれいにことを運んでもらって、私は本当にホッとしたわ。生き返ったと思った。それでね、全部が終わった時、あの人、自分の全財産をみせてくれたの。お前が全部好きにしていいって。馬鹿よね、色々と、私も、あの人も』

――あの時、全ては終わっていた。

燻っていたものは、柊子への想いじゃない。

すべきことをしなかった自分への後悔。


「結論はとっくの昔に出ていたんだ」

今夜ここで、柊子の笑顔を見た瞬間それがわかった。
真行寺柊子になった彼女の笑顔が、過去の幻影を消してくれた。

それがどんな結論なのか、仁はなにも聞かない。
ただ「そうか」と頷く。

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