若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
***

教室が静かなのはいつもと同じだった。

朗々と声を響かせる教授の授業はいつもと変わらない。
普段なら真剣に聞き入っているはずのマクロ経済学の授業に、向葵は一向に身が入らない。

ゆらゆらと足首を動かしながら考えた。

この教室に、人妻はいるのかな、と。

――もしかして、私たげ?

結婚したことは、向葵の希望で秘密にすることになった。

親友の夏梨は今朝の便で、一足早く北海道の実家に帰ってしまった。なので少なくとも夏梨が戻ってくるまでは、隠し事をしなくて済む。

羽原弁護士の話では、この大学では届けを提出し手続きをすれば旧姓のまま通すことが許されているという。ということで、向葵が結婚を隠し続けても問題ない環境は整っていた。
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