愛さずにはいられない
「・・・っ」
痛みに奈央が顔をゆがめていると仁がすぐに気が付き自分のカバンの中から目薬を出した。
「ほら。上むいて。」
仁が慣れた手つきで奈央の目に目薬をさす。
飛行機の中は思ったよりも乾燥していて目が乾きやすい。
「ごめん。目薬忘れちゃった。」
「大丈夫。俺ふたつ持ってきたから。」
仁はそんなところも予測してくれていたらしい。
「大丈夫か？」
「うん」
仁がティッシュで余った分の目薬をふき取る。
「少し眠りな。眠れなくても目を閉じてる明けでいいから。」
そう言って仁が奈央の瞳の上に自分の手をのせる。
仁の大きな手で奈央の顔のほとんどが隠れてしまうほどだった。
その温かさに奈央は安心して目を閉じる。
少しすると奈央は寝息を立て始めた。

そっと奈央の瞳の上に置いていた自分の手をよける仁。
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