愛さずにはいられない
少しして奈央は顔をあげた。

みるみるうちにその表情に笑顔が広がる。



「仁・・・」
「ん?」
「歌えてた?」
「あぁ。歌えてた。」
「私・・・歌えた?」
「歌えたよ。すごかった。」
奈央の瞳から涙があふれる。

こうして涙を流せるようになるまでにも時間がかかった。

そんな奈央が再び歌うことができた。
仁は思わず奈央の体を抱きしめていた。
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