俺様御曹司はウブな花嫁を逃がさない

「わからない期間……ですか?」

「ああ。わかるとしても陽が十歳以降だからね」

「え……?」

「あれ? 知らなかったのかい? 俺と陽は血の繋がりがないんだよ」

「そうだったんですね……」


てっきり陽から聞いているのかと思っていた博人は、瞠目する紬花の姿を見て心中で笑う。

──なんだ、そんな話もしていないほどふたりは進展していないのか、と。

まだまだ自分が付け入る隙は十分にある。

陽より自分の方が紬花に心を開いているのだと示すべく、博人は続けて口を開いた。


「俺の母と陽の父はバツイチ同士で再婚していてね。それで目出度く兄弟になったんだが……御子柴の家からすれば俺はよそ者だろう? だが、こうして社長に抜擢してもらえて今がある。陽を差し置いて俺が社長になるのも気が引けたが、しかし……」


いかに自分が優れているかをピールするように自分語りを続ける博人だったが、紬花の意識は「目出度く兄弟になったんだが」の辺りで、すでに別の場所にあった。


(御子柴さん?)


視線を感じた紬花がちら、と窓の向こうを確認した時、一瞬だけ視線がぶつかった相手。

それは確かに陽だったのだが、こちらを見る双眸には冷めたい怒りを滲ませていたように思えた。

今はもう肩にコートを羽織った背中を目で追うことしかできない。

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