基準値きみのキングダム


「あー。クラスの宣伝になるからって、無理やり着替えさせられた」




煌びやかな肩章が縫いつけられた、真っ白な王子服。


どうやら、私たちのクラスで貸し出している衣装のひとつらしい。


ほんとうに白馬の王子様みたいで似合っているけれど、深見くんは嫌そうに顔をしかめた。



格好いいのにな。


ファッションショーで当然のようにグランプリを獲ってしまうくらいだ、皆が認める人気者。


そんな深見くんが私を────なんて、もう疑ったりはしないけれど、疑問には思うわけで。




「あの、深見くんは……」

「うん?」

「私の、どこが、好きなの?」



こんなこと、本人に聞くのも恥ずかしいけれど。

でも、どうしても、気になってしまう。



首を傾げた私に、深見くんはわかりきってることを聞くなよとでも言いたげな顔をしながら、迷いなく口を動かした。





「────かわいいところ」





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