基準値きみのキングダム


𓐍
𓈒

SIDE/ 深見恭介




正直なところ、入り浸りすぎな自覚はあった。




「恭介くん。……それ、姉ちゃん?」




ぼーっと何気なく眺めていたスマホを覗き込まれる。



やば、ばれた。

いや、見られてやましいことは何ひとつないんだけどさ。



けれど、それが彼女の────眺めていた写真の彼女の、弟であれば、多少の気恥ずかしさはある。





「はー、恭介くんって、ほんと、姉ちゃんのこと好きだよね」

「……否定できねえな」





かわいくてつい、でフォルダに写真が増えていく。

かわいくてつい、で暇さえあれば無意識にそれを眺めている。




「って、俺は惚気を聞かされたいわけじゃなくて。ここってさ……」

「あー、それは、こっちの三角形がここと相似だから」

「あ、そっか。やっぱり恭介くんって頭いい」





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