売れ残りですが結婚してください
「翠ちゃん。その話はおいおい聞くとして、シュウという人とはどうだったの?」

石神が質問した途端翠は、複雑な表情を浮かべた。

「優しい人でした」とボソッと呟いた。

「それだけ?」

間髪入れずに石神が尋ねる。

「はい。すごく優しい人でした。私会場に着いたら時間も忘れ長い時間作品を見ていたんです。でもあの人ずっと待っててくれました。文句も言わずに」

「長い時間てどのくらい?」

「……4時間?」

石神は驚き復唱するほどだった。

だが、翠が夢中になると周りが見えなくなることは石神もよくわかっている。

だが何も知らないシュウにはさぞ辛かったのではと同情してしまう。

「それで?展示会の後、何処かに行ったりしたの?」

翠は首を横に振った。

「え〜?じゃあそれで終わったんだ」

石神は翠とシュウはもう二度と会わないのだろうと思った。

だが、翠は再び首を横に振った。

「え?違うの?」

翠は、4時間待たせてしまったお詫びに食事をする約束をしたことを話した。

「私は連れて行ってくれるだけだと思ったんですが、シュウさんがデートって言右門だからびっくりしました。先輩、デートって一体なんなんですか?」
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