求愛一夜~次期社長とふたり暮らししています~
高木さんの意志を確認した彼は、すぐに上原玩具の福岡支社とやり取りをした。
ちょうど欠員があったのもあり、高木さんは福岡支社営業部に異動が決まったのだ。


街がクリスマスのイルミネーションに彩られた年末。
仕事納めの夜、一月から福岡に異動する高木さんの送別会が居酒屋で開かれた。

高木さんの妻と大樹君は、すでに福岡で生活しているらしい。
外で酒を飲むのは久々だという高木さんの隣で、声を潜めて聞いてみる。

ずっと聞きたくて聞けなかったことを、酒の力を借りてみた。

「高木さんって、私のこと嫌いですか?」

世間話をしている最中、前振りもなく聞くと、高木さんがビールを吹き出す。

「そんなことねぇし! なんで、そう思うんだ?」

「最近は違いますけど、前は私にだけ不愛想だったなって……」

これまでの仕返しで、声を少しだけいじけさせてみた。

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