求愛一夜~次期社長とふたり暮らししています~
浴槽はそれほど広くないが、ふたりで入るにはちょうどいい大きさといえる。

「美月。この期に及んで嫌とか言わないよね?」

彼が念を押すのは、ふたりで風呂に入るかどうかを、じゃんけんで決めたから。
結果は『ふたりで入る派』の彼が勝った。敗者は勝者に従わねばならない。

「嫌ってことじゃなくて、ちょっと……」

遠距離になって会う回数が減ったからか、以前より激しく求められるようになった。

今日は場所が外だ。
もし求められたら、声が隣の部屋まで聞こえないか、どうしたって気になってしまう。

私の胸の内を察したんだろう。上原課長がクスッと笑みを湛える。

「大丈夫。この前みたいな無茶はしない」

この前の? うん、確かに激しかった……。

先月は彼と休日が合わなくて、一度しか会えなかった。それも日帰りの半日だけ。

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