求愛一夜~次期社長とふたり暮らししています~
だが「もういい」とだけ呟いた彼は、スーツの内ポケットに手を差し込みながら、スタスタと立ち去ってしまった。

あれ、そこまで関心がない? それとも、報告が遅れたのを怒ってる? 

話は進んでいるとはいえ、まだ担当の確約が取れただけ。
担当レベルで話が進んでも、その先の上層部に難色を示されて、おじゃんになるのも珍しくない。

もう少し話を詰めたら報告しようと思ってたんだけどな……。

高木さんの背中をぼんやりと目で追うと、私の隣で山瀬君が声に怒りを孕ませる。

「感じ悪いっすねぇ。中野さんがどれだけ苦労してると思ってんだよっ」

「いいよ。気にしてないし」

「……ってか、仕事中に私用電話ってダメでしょ!」

山瀬君はそう吐き捨て、耳に電話を押し当てる高木さんを睨み付けた。


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