マリッジライフ・シミュレイション~鉄壁上司は妻を溺愛で溶かしたい~
幾見君ははっきりと明言したわけではない。けれど――

『俺じゃダメですか?』

その意味を分からないふりして誤魔化して良いものか――

「矢崎さんとのことも……幾見君には迷惑ばかりかけてしまって、」

「迷惑とも思っていません」

私の言葉を遮ってそう言った幾見君の、熱のこもったまなざしが真っ直ぐ私を射抜く。

「高柳統括と付き合っているんですか、雪華さん」

直球で投げられた問いに、ぐっと言葉が詰まった。

「それは……」

何か言わなければと一旦は口を開いたが、何と説明したら良いのか分からず言葉が続かない。

「統括はやめた方がいいです」

「なっ、」

「あの人は別の世界の人だ」

幾見君が言うように高柳さんは親会社のスーパーエリートだ。私とは住む世界がもともと違っていた。
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