マリッジライフ・シミュレイション~鉄壁上司は妻を溺愛で溶かしたい~

《三》





『―――皆さんご承知のように、いよいよ東京オリンピック開催の年がやってきました。オリンピック企画【TohmaBeer-Hopping】は、五輪オフィシャルパートナーとしての役目を果たし、Tohmaグループ全体の更なる発展を遂げるため―――』

スピーカーから高柳さんの声が会場全体に響き渡る。
私は壇上で開催の挨拶をする彼を、斜め後ろ、司会の立ち位置から見つめていた。

明け方近くまで高柳さんの帰宅を待って起きていた私は、結局一睡も出来ないままこの決起会を迎えた。


会場となる本社のレセプションホールには、グループ各社総勢115名が一堂に会している。
その中にはトーマビールやトーマ飲料の社長の姿、そしてその中にはTohmaグループホールディングスの、当麻代表取締役社長兼CEOの姿もあった。

ホールの中のテーブルにはケータリングフードとドリンクが並べられていて、ドリンクはもちろん自社グループ各社のもの。立食スタイルで食事とドリンクを楽しみながら、一時間半ほどの間、自由に意見を交わしながらこの夏に向けての士気を高めて行くことが目的だ。

『―――この決起会を機に、心を一つにしてグループの垣根を超えた連携でプロジェクトを成功させましょう!それでは乾杯』

会場の人が皆、手に持ったグラスを掲げ乾杯した。

< 214 / 336 >

この作品をシェア

pagetop