マリッジライフ・シミュレイション~鉄壁上司は妻を溺愛で溶かしたい~
私の隣に腰を下ろしながら、彼が私の顔を覗き込んでくる。

「ずいぶん顔色が良くなった。欲を言うなら明日一日は休んだほうが良いのだけど」

「大丈夫です、もうすっかり元気ですから。高柳さんのおかげです。本当にありがとうございました」

連休最終日に体調回復できたのは本当に彼のおかげだと感謝の気持ちを伝える。それから「すみませんでした色々とご迷惑をおかけしてしまって……」と謝ると

「迷惑なんて掛けられていないぞ?具合の悪い妻の世話をするのは、夫の役目だろ?」

甘く微笑みながら首を傾げる彼に心臓がどきんと跳ねて、私は慌ててそこから視線を剥がした。
逐一こんなふうに色気たっぷりの甘い瞳で見つめられて、このままだと心臓が持ちそうにない。
うっすらと色付く頬に気付かれたくなくて視線を逸らし、「妻ではありませんよね?」と口にする。

「俺にとって雪華は妻なのだが…嫌か?」

「い、いやかって……」

「こんなに可愛い妻がいたら、毎日楽しいだろう?」

「かっ、」

“可愛い”なんて言われ慣れない言葉に絶句する。
みるみる顔が真っ赤になるのが自分でもわかって、思わず下を向いた。

「顔が赤いぞ?また熱が上がってきたんじゃないか?」

俯いていた私の額に高柳さんの手が当てられた。その手は大きくてとても暖かいけれど、触れられると脈拍が上がるから、そっちのほうが体に良くない気がする。
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