君の子守唄
エレベーターに向かうと

「彰人部長、おはようございます。」と

受付嬢の女の子に声をかけられた。

長男の会社に入る時は

腹違いの子供と知られると、お母さんに申し訳ないという思いから

身内だと言うことは、伏せておくはずだったが………

長男による、親父の解雇劇によって

長男が会長、兄貴が社長。

そうして俺が、部長になってしまった。

因みに洋介は、兄貴の秘書にされ

結局、俺達の素性は全ての社員にバレてしまった。

まぁ、長男の貴文さんなら…………

そこも作戦の内で

俺達に、会社に入って欲しいと投げかけたんだろうけど…………。



「えっ??
彰人部長………………
結婚は………されて……………ましたっけ??」

受付嬢にあるまじき話し方だが………

それほど驚いているのだろう。

「いや、独身だよ。
この子は、洋介秘書の妹さんなんだ。
お母さんが、体調を崩されて子連れ出勤の予定だったんだけど。
さすがに、社長について歩く秘書が
子供を連れてたら不味いだろうということで。
部屋に籠りっきりの俺に、お鉢が回って来たんだよ。
当分会社に連れて来るから、よろしくね。」

俺の説明で、大切な子供だと判断したのか。

「では、お部屋をご用意しますね。
そちらのお荷物を預からせて頂いても良いですか?」

直ぐに荷物を受け取り

プレイルームを用意してくれた。
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