君の子守唄
「ねね、チョコレートが好き!」

寧々は、洋介が食べさせてるから

好きなケーキが自分で言えるようだ。

…………………良かった。

自分の好きな食べ物が言えるということは………

安心できる場所だということだから。

緊張する場所で、ワガママは言えないからな。

「だったら、寧々とお姉ちゃんのチョコケーキと
俺のシュークリームと兄貴の……………。
おじさんは、何が好きか分からないから適当に買おう。」

ケーキ屋を覗くとワクワクした表情の寧々。

咲の誕生日を、初めて祝った時と同じ顔をしてる。

俺の基準は、やっぱり咲のようだ。

ケーキを買い、車を走らせると

急に笑顔が消えた寧々。

知らない大人に逢うんだ…………緊張するよな。

「寧々、嫌なら行くの止めようか?」

俺の言葉に少し考え

「………………………行く。」と

怖いはずだけど

俺や洋介、洋介のおばさんと出逢うことで

人に心を開き初めたのかもしれない。

「ヨシヨシ、良い子だ。
遅くなるけど、洋介も来ると言ってたぞ。」

安心できる大人が沢山いると思えるのは、寧々の財産になるはずだ。

< 20 / 62 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop