世界で一番美しいプレゼント
祖父に笑い、風香はご飯を食べる。父と母が結婚していた頃はほとんど食事を取れなかったが、今ではかなり食べられるようになった。そんな風香を見て、祖父母と父は安心したような表情を見せる。

「ごちそうさまでした」

食べ終わった皿を流しへと持って行き、風香は歯磨きなどを済ます。

「行ってきます」

風香は家族に笑いかけ、家のドアを開けた。



学校へ行く風香の足取りは重い。同じ学校の生徒の姿が見えるたびに、びくりと体が震える。

「風香、おはよう!」

歩いている風香は後ろから声をかけられ、ゆっくりと振り返る。そこには友達数人がいた。

「おはよう!」

風香はニコリと笑い、挨拶をする。この友達は風香が小学生の頃からの友達だ。ファッションの話や最近話題のテレビ番組の話、スイーツの話などを集まって楽しく話している。しかし、風香は時々みんなといることが苦しくなるのだ。

「ねえねえ、これ見て!」

友達の一人がスマホを取り出し、写真を見せる。それは友達のお兄さんの写真だった。
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