【母子恋愛】かあさんの唄
第11話
時は流れて、10月5日頃のことでありました。

ひろみさんは、両親の命令でかつての新郎さんの弟さんと結婚をしました。

しかし、結婚生活はうまく行っていませんでした。

ひろみさんのダンナさんは、国分寺町にある段ボール工場に勤務をしていますが、ひろみさんと結婚をしてから無断欠勤と無断早退ばかりが目立つようになっていたので、ひろみさんは専業主婦をやめて、パートに出ることにしました。

ナマクラのダンナに代わって、ひろみさんが生活費を稼ぐことになったので、ひろみさんはガマンの限度を大きく超えていた…

段ボール工場の社長さんはものすごく困っていました。

ひろみさんのダンナさんは、工場から任されている仕事を投げ出して職務放棄したけど、代わりに仕事を任せる人がいなかったので、シドロモドロになっていました。

しかし、ひろみさんはダンナが会社をやめたければやめればいいのよと言い放ったので、話がこじれてしまいました。

ところ変わりまして、ひろみさんがパートで働いていることでん長尾線の木太東口駅付近にあるガソリンスタンドにて…

ひろみさんは、スマホで段ボール工場の社長さんに『期限をもうけずにダンナを休ませますから!!』と突き放す声で言うたあと、電話を切って、スマホをケースの中にしまいました。

「何をやっているのだよ…洗車のお客様がたくさん待っているのだよ!!」
「すみません。」

ひろみさんは、あわてた表情で持ち場へ向かいました。

その頃でありました。

アタシはゆうとと一緒にJR高松駅の近くにある全日空クレメントホテルに来ていました。

この日は、ブライダルフェアが開催されていたので、ゆうとの幸せを願ってフェアの見学に参加していました。

衣装のことから挙式披露宴のことまで…

ふたりでいろんなブースを回って、挙式披露宴のことをこまごまと調べていました。

ところ変わりまして、エントランスのカフェテリアにて…

フェアを回った後、ふたりはお茶をのみながらホテルのスタッフさんと一緒にフェアの感想などのアンケートを取っていた…

それから数分後、ふたりでこんな会話をしていました。

「かあさん。」
「なあに?」
「どうして…どうして、ブライダルフェアに行こうと言ったのかなぁ?」
「どうしてって…ゆうとの幸せを願ってクレメントに来たのよ…子の幸せを願うのは母親として当然のことじゃない。」
「かあさん、変だよ…ぼく…まだこいびとがいないのだよ。」
「だから、前もって挙式披露宴のイメージを知っておいた方がいいと思って、ここへ来たのよ…ちがうかしら?」

アタシの言葉に対して、ゆうとさんは煮え切らない声でアタシに言いました。

「それじゃあさぁ、結婚相手がいないのにどうやって挙式披露宴を挙げるのだよぉ。」
「心配しなくても、ゆうとのお嫁さんはかあさんが選んであげるわよ。」

アタシも結局、煮え切らない声でゆうとにこう言い返しました。

アタシはこの時、ゆうとのお嫁さんをみつけることと並行して、松山での新生活を始める準備などで、何かとバタバタしていました。

同時に、アタシが買い戻した北持田の家のリフォームが始まったので、ゆうとのお嫁さん選びと挙式披露宴の翌日からすぐに働ける職場を探すことを加速させていました。

その頃でありました。

ひろみさんがバイトをしているガソリンスタンドに国分寺町にある段ボール工場の社長さんが来ていた…

ひろみさんから電話で『ナマクラの大バカダンナを無期限で休ませるので、よろしくお願いいたします。』とダイレクトに言われたので、社長さんは大パニックにおちいっていました。

大パニックにおちいっている社長さんは、ひろみさんに対して、ひろみさんのダンナさんがどこへ行ったのかと聞いてきたので、ひろみさんは思い切りキレていました。

「知らないわよ!!ナマクラのダンナのことを聞かれても知らないものは知らないのよ!!アタシはね!!ナマクラでロクデナシの大バカとは離婚するから!!アタシ、ダンナと離婚したらちがう男に乗りかえて再婚することにしたからカンケーなくなったのよ!!帰ってくれるかしら!!」
「ひろみさん、こっちは困っているのだよ!!ひろみさんのダンナさんに任せている仕事が山のように残っているのだよ…受注分の納期日があしたなんだよ…人手が足りない…とてもとは言えないけど、会社が困っているのだよ。」
「フン、そんなことなんか知らないわよ!!あんたが従業員さんをやめさせるようなことばかりしていたから、人手不足になったのでしょ…あんたはバカだから、従業員さんたちに去られている理由が分からないのよ…そんな工場なんかつぶれてしまえばいいのよ!!」
「ひろみさん、あんまりです!!言い過ぎですよ!!」
「フン、悪かったわね!!バカ経営者!!あんたのナマクラが原因で、何人の従業員さんをやめさせてしまったのか、数えてみなさいよ!!勤務態度が悪い従業員さんたちを甘やかすだけ甘やかしておいて、なんなのかしら一体もう!!」
「ひろみさん、私はひろみさんのダンナさんに会社にいてほしいのです…安いお給料でもいやな顔ひとつもせずに、まじめに働きとおしてきた人なのですよ…ひろみさんのダンナさんしているお仕事は、ひろみさんのダンナさんじゃないとできないのです。」
「バカみたいだわ…あんたの言うことはムジュンだらけだから、信用できないわよ!!もう怒ったわよ!!アタシがバイト中に突然職場に土足で上がり込んで、アタシにビービービービー泣いているヒマがあるのだったら、新しく従業員さんを雇いなさいよ!!」
「雇いたいのだけど、資金繰りが悪化していて…」
「それはあんたが会社のカネを遊びのカネに使ったり、売上金をピンはねをしたりと悪いことばかりを繰り返してばかりいたから資金繰りが悪化したのでしょ!!」
「ひろみさん、それは言い過ぎですよぉ。」
「うるさいわね!!虫ケラ以下のチンピラ野郎!!帰んなさいよ!!」

ひろみさんは、段ボール会社の社長さんに言い返したあと、トリガーガンの洗車機の先端を向けて、立ち直れなくなるまで大量に水をかけてしまいました。

ひろみさんのダンナさんはどうなっていたのかと言うと、女の人を連れてどこかへ逃げて行ったと聞いていたので、ひろみさんの家やダンナの家はすごくおかんむりになっていたと思います。
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