ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
Reina's  eye ケース13:不透明なココロ


【Reina's  eye ケース13:不透明なココロ】




「ママ、おはよう~。もうゴハンできてるの?」

『うん。食べる?』

「うわ~、うさぎりんごちゃんだ~♪」


お味噌汁にいれる葱を刻んでいた私の背後から聞こえてきた祐希の元気な声。
ナオフミさんが夜中に出勤してから、全然眠れなかった私。
いつもよりも早くベッドを抜け出して、腫れぼったい目を冷たいタオルで冷やしてから朝ごはんを作った。

いつもはただ皮を剥くだけのりんごも
うさぎりんごにする時間があるぐらい早く起きてしまった。

夜中ずっと
自分の中に存在していた不安要素を掻き消せるようなことが思いつかなかったこと
そして
ナオフミさんが何を考えているのかわからなかったこと
に悩まされて朝を迎えてしまったから。



『手、洗ってから食べよう~♪』

「はあ~い。・・・あれ?パパは?」

『・・・仕事、行っちゃった。』


一瞬、返事に戸惑った私。


「ママ?どうしたの?」

『・・ん?』


祐希は見逃してくれなかった。


「ママさみしいの?」

『・・そうだね。』

「ボクもさみしい、けど、パパ、すごいよね?」

『すごい?』

「うん、このまえ、ふくもとのおばちゃんがこっそりとパパががんばっているところ、みせてくれたの。」



そういえば、1ヶ月前くらいだったっけ?
臨床心理室の会議が長引いて定時に帰れなかった私や同じく勤務中だったナオフミさんが保育園にいる祐希を迎えにいくことができなくて
既に業務が終わっていた福本さんが私達の代わりに保育園まで祐希を迎えに行ってくれて、病院まで連れて来てくれた。


「かっこよかったな~パパ!!!」


その時に病棟の廊下とかで見かけたのかな?
ナオフミさんが従事している姿を


「ママ、ボクもパパみたいになりたい!!!!」

『パパみたい、に?』

「そう!!!!!えっと、おいしゃさん!!!!」

『おいしゃ、さん?!』

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