ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活



「日詠先生のことだもん。きっとなにか理由がありますよ。」

『・・・・・・』



谷本さんが自分を慰めてくれるようと口にしたその言葉。
けれどもその理由に心当たりがある私はその言葉によって自分の胸をチクッとつつかれた。


それまでも感じ取ったのか谷本さんは

「日詠先生、あんなにも伶菜さんしか見えてないから・・・絶対大丈夫。きっと事故みたいなもんですよ~、奥野先生が転びかけた拍子に唇が当たったとか。」

と一生懸命に理由を考えてくれた。



谷本さんの口から昨日の夜、ナオフミさんに何があったのかを知ってしまったけれど

「だから、難しく考えちゃダメですよ~。」

それでも
彼女がいてくれてよかった。

この時の自分では
ナオフミさんと奥野先生がしていたキスの理由なんて
考える余地なんか全くなかったから。


「伶菜さんだけ、ですから・・・日詠先生は。私にはそう見えますよ~。」


こうやって言ってくれる人が傍にいなかったら私
いとも簡単にナオフミさんから身を引いていたと思う。


だって
こういうことがあって改めて
ナオフミさんと奥野先生は
お似合いすぎるって思えてしまったから・・・



だからこの時の私は
明らかにすれ違っているナオフミさんとの関係修復のために自ら動くことはできなかったんだ。

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