ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
Hiei's eye カルテ14:a necessary condition


【Hiei's eye カルテ14:a necessary condition】




『早川室長!!!!!! 至急、ご相談したことがあって・・・』


伶菜が谷本さんに引っ張られながら俺の目の前から去った。

明らかに傷つけた。
伶菜を。

それなのに
彼女を追いかけることをせずに
俺は自分のすべきことに取り掛かった。


これ以上もう伶菜を傷つけない
そのために自分から動くんだ
そう思いこんで
俺が今ここにいる


森村あたりが今の俺をみたら
“なんで言い訳ちゃんとしてやらねーんだよ!”と
とことん罵るに違いないだろうけれど



「あら、日詠先生見つかりました?ウチの高梨、、いえ、日詠伶菜は。」

『ええまあ・・・・きっと今、産科病棟で看護師と話をしてます。』

「そうですか。会えたならよかったです。」

『スミマセン、、お騒がせして。』

「こちらこそすみません。見つかったことをわざわざ言いに来て頂いて。」


早川さんはそう言って笑った。


でもそうじゃないんです
用事は別にあるんです

そう言おうとした俺を

「それだけじゃ、なさそう・・ですね。日詠先生。」

早川室長は一瞬で俺の頭の中を見抜いた。



この人は
伊達に長年、人のココロに耳を傾けてきてないことを
その一瞬でイヤというほど痛感させられた。


だから
口を開かずにはいられなかった。


『相談させて頂きたいことが。』


「私に?クライアントの依頼です?」


早川室長からいつものあの穏やかな笑顔を消えた。
俺の緊張が伝わっていたのだろう・・か?


『ええ、これなんですが・・・』

俺は近くにあったパソコンをかりて電子カルテ画面にログインした。

『僕が今、受け持っている症例です。』

「これって・・・・」

お腹の中に双子の胎児がいる妊婦のカルテを早川室長に提示した。


『TTTSです。』


「TTTSって・・・・もしかして日詠先生がこれから取り組んでいこうとしている?」


簡単には慌てたりしなさそうな早川室長。
そんな彼女がそう呟いた後、言葉を失った。



『双胎間輸血症候群です。』




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