ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
Reina's eye ケース20:彼に隠していたキモチ



【Reina's eye ケース20:彼に隠していたキモチ 】




ついさっきまで担当している妊婦さんの難しい手術をしていた人が
今、私の腕の中で小さく息をたてて眠っている。

資料室のバックヤードである無機質なこの空間での
不思議な光景。

でもその眠っている顔は
とても穏やかで。


このまま静かに休ませてあげたい
このまま温かいお互いの体温を共有したい
そう想いながら私も目を閉じた。


でも

『あっ、カンファレンス・・・』


勤務中だった私。

早川室長には “大変な手術だから、時間とか気にすることなく、患者さん本人だけでなくご家族もケアしてあげて” って言われていたから、慌てて職場に戻る必要はなかったけれど
さすがにカンファレンスはサボれないよね

でもナオフミさんとこのまま離れたくない気持ちに拍車をかけるように
彼はサボっちゃえなんて言ってくるし・・・


あんなに仕事に対して真摯である彼なのに
そんなことを言うなんて珍しくて

それに流されそうになりかけたその時、
滅多に人の出入りのない資料室に森村先生が入ってきた。


びっくりしてつい声を上げてしまう。


ナオフミさんは瞬時に私の口を押さえてくれたけれど
森村先生は人の気配があることに気がついたみたいだった。

いつも冷静なナオフミさんもさすがにこの時は焦ったみたいで
ほぼ裸に近いふたりをふんわりと覆っていた彼の大きな白衣の中でお互いに息を殺した。

そして呼び出し電話を受けた森村先生から間一髪で逃れた私たちがほぼ同時に息をついたことも異様な光景だった。



< 236 / 367 >

この作品をシェア

pagetop