ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
Reina’s eye Lastケース:ダンナさまはお医者さま



【Reina’s eye Lastケース:ダンナさまはお医者さま】




生死の境を彷徨っていた日々から3年。



「ひな~、こっち、こっち!!!!!」

「にい・・・まって。」

『祐希、陽菜・・ちょっとふたりとも早いって・・・』


多くの人達に支えられながらすっかり元通りの体調になった私

3年前、生まれた娘は、太陽をいっぱい浴びてすくすく明るく育つようにと
陽菜(ひな)と名付けた
陽菜の菜の字は、ナオフミさんがどうしても付けたいと懇願したっけ

ここ最近ではすばしっこいふたりを追いかけるのが日課になった。


「パパ、いたいた~!!!!!」

「ぱぱ、いたい、たぁ~?」


学校も保育園もお休みな日曜日。
ふたりが駆け込んだのは
今日も気持ちのいい風を体いっぱい感じられる病院屋上。


ふたりと私が会いに来たその人は


「う~ん・・おう。祐希に、陽菜。」


白衣姿でベンチに腰掛けて大きく背筋を伸ばしていた。
相変わらず彼の大好物のメロンパンを片手にして。



「ひと口、ちょうだい!!!」
「ひなも!!!!!」

「ほら、慌てるなって。順番だぞ。」



ナオフミさんの両端に身体を寄せ合う祐希と陽菜。




この3人の後ろ姿を見ていると
時々思う。

もし、お父さんが生きていたら
ナオフミさんと私もきっと
こんなことをしていたんだろうな・・・って。


「伶菜も・・・食う?」

『食う、食う♪』


彼が振り返りざまに差し出したメロンパンを
少し前に屈んでひと口だけかじった。


「ボクももう1回!!!!」
『ひなも~♪』

『これは・・・やれんな・・・』

「なんでなんで?!!!!!」


目をくりくりさせてナオフミさんに飛びつく祐希。

このふたりの間に血の繋がりはないけれど
そんなことは全然感じられないぐらい
彼らには親子の繋がりというものを感じる。


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