ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活

こんな時に不謹慎なのかもしれないけれど
やっぱり俺、彼女のコト
伶菜のコト・・・スキだ


誰もいなけりゃ
多分、俺は今ここで、伶菜をきつく抱きしめてただろう

はぁ~
もし今、福本さんに俺の頭の中を覗かれたら、かなり突っ込まれるんだろうに



「おい、そこの腑抜け!」

『・・・・・・・・』


突っ込まれるだろうじゃなく
どうやらこれから突っ込まれるらしい
これからの俺は・・・・



「ウチのかわいい伶菜に、あそこまで言わせて~」

『福本さんのじゃないです。』

「じゃあ、誰の?」

『俺の。』



しまった・・・

「谷本~安田ぁ~聞いたぁ~?俺の、だって~」

福本さんの策略にはまった



「だから、あんたたちも大切にしてよ!日詠先生の伶菜チャン。奥さんをないがしろにすると日詠先生、仕事しなくなるからね~」


仕事しなくなる、か・・・


確かに俺、前科あるからな
祐希が産まれたばかりの頃とかに

あの時の俺は
伶菜と祐希が心配で
いてもたってもいられない状態だった

医師失格と言われても仕方のないぐらい
地に足が着いていなかったっけ
今だからこうやって振り返ることができるようになったけれど・・・




「でも福本さん、つまんないんですけど・・・この人が日詠先生の奥さんなんて!」

「どういうことなのさ、谷本?」


谷本さんに伶菜のコトを“つまんない”と言われ、さすがの俺も動揺したが
福本さんは面白そうにそう問いかけニヤリと笑った。
既に先が読めている・・・福本さんのその笑みはそう見える。



「だって~、“あたしが日詠先生の妻で当たり前なのよ!”という高飛車な女なら、どんな手を使ってもひねり潰すつもりだったのに・・・・伶菜さんってば、“許して下さい”なんて、謙虚すぎるじゃないですか~。・・・・だから許す!」


そういうことか
部下である谷本さんの性格を読んだ上での福本さんのあの反応だったんだな


それにしても
“ひねり潰す”、か
そこまで考えてもらえるほど俺自身に価値があるかわからないが


「アンタも日詠先生のこと、スキなのね、谷本。」

「当たり前じゃないですか~!!!!日詠先生のコト・・・キライな人、いませんよ。仕事バリバリできるし、カッコよくてクールだけど、優しいし。あっ、でもスキ度は安田先輩には負けますけど・・・」

「安田もね~」


そう言われた安田さんも顔を真っ赤にしていた。
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