Sync.〜会社の同期に愛されすぎています〜
エピローグ

今泉翠


籍を入れたとはいえ一人娘の私は泰生をお婿さんもらったため、苗字は変わらず実感が湧かなかった。
しばらく二人で暮らしたアパートを引き払い私の実家へ行くことになった。

理由は、私のお腹に命が宿っているからだ。
もうすぐ臨月のため仕事は産休に入り退屈な毎日を送っている。

インターフォンが鳴り外へ出ると、私と同じ歳ぐらいの美男美女夫婦と、3歳ぐらいの男の子が挨拶にやってきた。

「こんにちは、逢坂(・・)と申します。この度向かいに引っ越してきました。よろしくお願いします。」

二人はにっこりと微笑んだ。

「こんにちは。今泉です。よろしくお願いします。」

奥様の方に目を向けると、私と同じようにお腹が大きくなっている。
私の誰からみても妊婦だとわかるお腹を見て、

「妊婦さんなんだ・・・。予定日いつですか?」
「2月18日です。」と私は答えた。

「うちは、4月3日です。学年は違いますね。でも、年の近い子がいて嬉しいです。性別わかりましたか?うちは女の子です。」

「女の子もいいですね〜〜。うちは男の子でした。」
と私は答える。


もうすぐ、冬が来る。冷たい風が吹いた。

「もうお友達ができてよかったね・・・」
私は、お腹に向かって話しかける。


それがお友達で終わったのかどうかはまた別の話。

外を吹く風は冷たい。
今夜が東京でも雪が降ると予報が出ている。
「妊婦は体を冷やしてはダメよ」と母が口を酸っぱく言うため暖かい靴下を履く。

【今日は早めに帰るね。愛してるよ翠・・・】

相変わらずのハートマークの多いメッセージに思わず笑ってしまう。
私への愛は、妊娠をしてからというもの余計に深まったらしい。
そんな私も彼への愛が止まらない。

【うん。愛してるよ】
と返信する。

何年か経ってこのメッセージの内容を息子が見たらどう思うだろうか。
思春期の時なら「気持ち悪い」と言われてしまうかもしれない。
でも、ここまで一人の女を一途に好きでいられるような男になって欲しいと思う。
あなたの父親のように・・・

だってね、お母さんはこんなに幸せだから・・・・


ーENDー

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