Bloody wolf
「暴走族相手にそこまで言えるのはおまえぐらいだな」

クハハと笑った晴成は、テーブルに置いてあった煙草をくわえ火をつけた。


「ちょ、ちょっと煙いんだけど」

受動喫煙させないでよね。


「おお、悪りぃ」

慌てて煙草を揉み消した晴成に、秋道以外の人間が驚いたように目を丸くする。


「晴が素直に従ってる」

尊敬の眼差して見てくるのは瑠偉。


「響ちゃんて、かっこいい」

と愛らしく笑うのは光希。


「禁煙になっていいな、晴」

ゆるりと口角を上げた豪。


「別に・・・」

興味なさげに返して、秋道に貰った缶珈琲を開けた。


喉が乾いていたのか、冷たい珈琲が染み渡る。

ん、美味しい。

自然と口角を上げた私を晴成が嬉しそうに見てたことは知らない。



少しして運ばれてきた食事はちょっとしたパーティーの様に豪華だった。

大皿に載ったサンドイッチやオードブル、それに数種類の料理が美味しそうに湯気を立てていた。


もちろん、料理を運んできた数人のヤンキー君達も、私の存在に驚いていたのは言うまでもない。

ギョッした顔で見て、目が合うと慌てて逸らす。

けれども、誰一人として私の事を問うことは無かった。




「好きなだけ食えよ」

晴成がそう言いながら、取り皿と割り箸を手渡してくれる。

「ん、ありがと」

それを受け取って、周囲を見渡せばそれそれが食事を始めていた。


「口に合うといいんですが」

飲み物を配りながらこちらを見た秋道。


秋道って、お母さんみたいだなぁ。  

うちの母親はこんな豆じゃ無かったけどね。

 
「この料理上手いんだぜ」

サンドイッチを頬張りながら瑠偉が言う。


「へぇ、出前なんだ?」

この近くにそんなお店は無さそうだったけどなぁと、思いながら車内から見ていた景色を思い出す。


「いや、出前じゃねぇ」

「そうなの?」

晴成の言葉に首を傾げた。

どこかの家で作ったにしては、盛り付けがプロみたいなんだけど。


「・・・ああ。うちのコックが作ってる」

少しだけ躊躇した様に言った晴成に、あまり深く聞かない方が良いのかな? と思う。

「そう」

晴成の家はコックを雇うほどのお金持ちなのね、と納得して話を終わらせる。
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