いつか、きっと。
真実ちゃんと京子ちゃんも同じように感じたのか、ホッとしてるようだった。

最後に私が手にしていた成績表を京子ちゃんに帰そうとしたときに、突然声をかけてきた男の子がいた。

「生田って転校して来た時から思ったけど、頭よかと?」

「上尾くんかビックリしたー。私?別に頭良くないよ」

「本当か?ちょっと見してみろよ」

そう言いながら手を伸ばしてきたから焦って言った。

「違う違う、これは京子ちゃんのだからダメだって。私のじゃないし」

京子ちゃんの成績表を間違って見られたら大変!

なんとか直前で阻止できてよかったと思っていると……。

「ふーん。じゃ、生田のはこっちか!」

そう言ったかと思うと、真実ちゃんが持っていた私の成績表をさっと引ったくって走っていった。

「え?ちょ、ちょっと待って上尾くん!!」

私が慌てて追いかけようと立ち上がると同時に、同じ教室の中にいた友也が上尾くんを追って行くのが見えた。

「おい!涼介、待てよ!!」

私も上尾くんと友也を追いかける。

すでに上尾くんの姿は見えなくなっていて、階段の所まで行ってた友也が私に気付いて言った。

「俺、あっち側の階段から上がるけん。明日美はこっちから上がれ。挟み撃ちにしよう」

友也は私の返事も聞かず、反対側の階段へと走って行ってしまった。

よし、私も階段を上がろう。

小走りに駆け上がって廊下に出ようとしたところで、ちょうどこっちに走ってきた上尾くんとぶつかりそうになった。

「うわっ!!」

「上尾くん!成績表返して!!」

手にしていた私の成績表をサッと体の後ろに隠し、上尾くんは言った。

「なあ、アイツのことは『友也』って呼ぶとに、なんで俺のことは名字で呼ぶと?」

「え、なんでって言われても……。特に理由なんてないよ」

言われてみれば、私が名前で呼ぶのは友也だけだ。

だってみんな『友也』って呼んでいるし、家も隣で仲も良いから……かなぁ。

友也も私のこと『明日美』って呼ぶけど、特にそのことについて意識したりしたことはない。

「あっそ。そんじゃ、俺のことも今度から名前で呼んでくれんかな?そしたらコレ返すけん」

え、なんでそんなことにこだわるの?


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