いつか、きっと。

私の誕生日から一ヶ月過ぎ、友也の誕生日がやって来た。

だけど私の悪い予感が当たってしまい、十五日が出張日になってしまった。

おまけにその日の出発時間が早朝のため、前日のバレンタインデーも物足りなさが否めなかったし。

チョコレートは手作りがいいだろうと思い、甘さを控えめにしたガトーショコラを作ってあげた。

「ちょっとほろ苦くて俺好みばい。さすが明日美やな。美味い美味い」

「ああ良かった!味見出来んかったけん美味しくできとるかドキドキやったっさ」

「なに!?味見せんかったとか?そいはいかんなー。しょんなかけん俺が味見さしてやる」

そう言って最後のひと欠片を自分の口に放り込んだ友也。

味見させるって言ったのに……。

なんて思ったら、急に腰を引き寄せられ抵抗する間もなく口移しで味見させられてしまった。

口の中には確かにほろ苦いショコラの味が伝わってきたけど、それよりも甘いキスに身も心も蕩けていく……。

そんな甘いひとときは、あっという間に過ぎ去っていったのだった。



「友也、誕生日おめでとう。本当は直接会って言いたかったとにごめんね」

出張先から電話をかけることが出来たのは夜遅くなってからだった。

『サンキュー明日美。今日は忙しかったっじゃなかか?電話でも明日美の声ば聴けて嬉しかった。週末は手料理楽しみにしとるけんな』

「うん、任して!あ、でも私ひとりじゃ不安やけんお母さんにもちょっと手伝ってもろうてもよかやろ?食べられんごとなっても困るし」

『ま、今回はいっか。明日美もこれから修行すっとやろうけん、料理の腕も上げてくれよな。近い将来に期待しとく』

ちっ、近い将来……!?

やだ友也そんなこと言われちゃったら私こそ変に期待しちゃう……。

"花嫁修業"しろって言われた気がしたりして。

友也に食べさせる前に少しでも練習するべきかと思ったけど、出張から帰って約束の週末まではあまり時間もなかった。

背伸びしても仕方ない。

今の私に出来る限りの力を尽くして、頑張ってみよう。

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