いつか、きっと。
なんだかよく意味が分からないことを言い残して、涼介くんは行ってしまった。

『お互いの秘密は守ろうな』だって。

そんな言い方って、まるで私が涼介くんの秘密を目撃したみたいだ。

だって私はあの時目をつぶっていたんだから、キスの相手さえ見ていない。

それなのに、周りを見る余裕なんてあるわけないのに。

何を言ってるんだろう……。

しかも、私にとって初めてのキスじゃなかったことを『友也は知っとると?』なんて。

どうしてそんなことを聞くの?

あーっもう!!

頭ん中がぐちゃぐちゃに混乱してきて、訳が分からなくなった。

ねえ、友也……。

あなたは私のことをどう思っているの?

私が涼介くんとどうにかなってもいいの?

昨日のキスを思い出して唇に触れてみる。

初めての友也とのキスと同じだった。

ほんの一瞬だったけど、感覚はハッキリと覚えてる。

それなのに、友也じゃないの?

キスって誰としても同じように感じるのかな。

友也でも、涼介くんでも。

私は友也が好き。

でも、友也は……?

涼介くんも何をしたいのかよく分からないし。

小学生の時から何も変わらず、同じように仲良くしてきたつもりでいるけど、それって私がそう思っているだけなの?

友也は一体どう思っているんだろう?

ずっと傍にいたいから、ずっと同じ距離を保ってきた。

本音を言えばもっと近づきたいって思うけど、そうすることでこの関係を壊してしまうんじゃないかと思うと怖い。

だからいつも同じくらいの距離感を感じることで、ずっとこのまま私が一番友也に近い場所にいることができるんだって信じてきた。

友也もそう思ってくれているんだって、信じてきた。

だけど、心の距離はどのくらい?

心は一番近くにいることができているのかな?

このころの私は友也の事ばっかりで、自分の事も周りの事もよく見えていなかったような気がする。

友也と私の心の距離ばかり気にしていた。

だって友也は私の親友でしょ?

大事に思うのって当たり前の事だよね。

だけど私にはもう一人、親友がいたはず。

未来、私は未来の事もずっと親友だって思ってるよ。

だけど未来との心の距離は、中学生活の中で確実に離れて行ってる事に私はまったく気づくことはなかった。

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