いつか、きっと。
「こがんこと言うたらアレやけど、未来がJ商志望って聞いて実は意外って思いよったとよ」

前から密かに思っていたことを未来にズバッと言ってしまった。

「……意外って、なんで?」

「未来はてっきり共学ば狙っとるとばっかり思っとった」

だって未来は前に私に『ドラマみたいな素敵な恋』をしたいと言っていたから。

そういえば、中学ではどうだったんだろう?

未来には好きな人とかいたのかな……。

「『高校でイケメンな彼氏作る!』なんて意気込んでるのかと思ってたから……」

恋バナでも始めるような軽い感じで未来に笑いかけたけど、私の軽口もそれ以上は続けられなかった。

「……未来?」

さっきまで私と同じように笑いながら喋っていたと思ったのに、今の未来は遠くを見ているような虚ろな目をしていた。

「……えっ、あ、ごめん。はっははは、実は本当の第一志望はN商やったとけどね!成績が足りんで諦めたとさ……」

「へぇ……。そうやったとね。そしたらお互い違う学校に通うことになっとったかも知れんやったね。未来と一緒で良かった!」

中学だけじゃなく高校まで違ったら、ますます疎遠になりそうだし。

離れていても"親友"って気持ちに変わりはないけど、会わない時間が長くなるとどうしても忘れがちになってしまうもの。

「そう言う明日美は?好きな人はできた?」

友也の顔がパッと浮かんだ。

あの卒業式の日のキスを思い出して顔が熱くなるけど、それを誤魔化すようにブンブンと首を振ってみせる。

「うんにゃ、おらんよ!私の友達は隠れて彼氏ば作っとったり、修学旅行で彼氏のできたりしたけど。私は全然さね……」

親友の未来に嘘はつきたくないけど、今の雰囲気では言えない。

本当は未来にも友也の事が好きだって打ち明けたかった。

いろいろ相談したいし、ただ話を聞いて欲しいなって思ってたけど。

なんとなく今の未来には私の好きな人の話なんて、しない方がいいような気がした。

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