いつか、きっと。
「いません」

異口同音に声を揃えて答えた。

私には好きな人はいるけど、彼氏ではなくて親友。

それが私と友也の関係。

こうして人から聞かれたり、それに答えたりすると実感を伴うからチクリと胸のどこかが痛かったりする。

その痛みに気付かない振りをするのにも少しは慣れてきたけど。

「そうなの?それは好都合ね。紫雲高校の人たちと交流会をすることになったんだけど、メンバーを探してるところなの。生田さんと青柳さんも参加してくれないかな」

交流会?

紫雲高校といえば、私立の名門男子校だ。

これはいわゆる……"合コン"ってやつのお誘いなんだろうな。

「すみません野口先輩。私そういうのはちょっと苦手なので……」

「あら、相手は紫雲高校なのに。きっと参加希望者がすぐに見つかるだろうから無理にとは言わないけど。青柳さんはどう?」

「あ、私も今回は他の希望者の方に譲ります。せっかくのお誘いなのにすみません……」

私たちが興味を示さなかったので、部長は他の部員のところに行ってしまった。

「未来、良かったと?紫雲高校っていえば頭良か人たちばい。将来有望じゃなかと?」

「ちょっと明日美、私ば何て思っとると!今度南海のテニスの応援に行くって話になっとるとに。そんがん気の多かと思われとるとは……」

いかにも心外だと言わんばかりに落胆した様子の未来。

「ごっごめん……!そうやったよね」

ダメだ。

どうも小学生時代の未来のイメージが強いせいか、たまにやらかしてしまう。

なんていうか、あの頃の未来とは違うんだよね微妙に。

彼氏は欲しいけど、私が思ってるほどがっついてないというか……。

前よりも大人しくなった感じがして戸惑うことがある。

未来も私が知らない間に大人っぽくなったってことかな?

小学生の時とは違うんだから。

もう高校生なんだし、理想ばかり追い求めても現実の壁にぶち当たったりすることあるし。

未来とは中学で遠くなった距離を埋めるように、もっと親密さを取り戻したい。

勿論、もう一人の親友の友也とももっと距離を縮めたいけど。

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