いつか、きっと。
「そいこそ、まさかのまさか!!前から言いよるけど友也は私の親友ばい。友也の恋人は……テニスやろうと思うよ」

一時は未来に打ち明けようと本気で考えていた。

だけど今更本当のことを言うなんてできない。

だって私が友也のことを好きだと言っても、私と友也の関係が変わることはないんだから。

私は友也に告白なんてできないし、友也から告白してくれるなんてことも有り得ない。

「明日美はやっぱり高卒で就職すると?」

「そのつもりけど。そのためにJ商に来たと言っても過言じゃなかし。え、未来は違うと?」

てっきり未来も就職希望だと思っていた。

J商から進学する人だっているけれど、就職の道を選ぶ人が多いのだ。

「最近ね、ちょっと迷うとさね。専門学校もいいかなって思ったり。その進路によってクラスの決まるやろ?どうしようかな……」

未来も自分の進路の事真剣に考えているんだな。

未来がもし進学希望するんだったら、来年は違うクラスになってしまうのかも。

「専門学校って、ビジネス専門学校とかかな。それとも公務員予備校とか。そっかー未来が進学ば考えとるとは思わんかった。どこの学校にしようとか、決めとると?駅前とかにもあるよね。こないだテニス見に行った松山とかにもあるよね」

「あ、いや、まだどこの学校とか決めとらん。もしかしたら……県外に出るかもしれんし……」

ちょっと口ごもりながら未来が言った『県外』に驚いてしまった。

就職じゃなく進学するかもっていうことだけでも驚きだったけど、まさか県外に出ることを考えてるなんて。

まだ先の話だけど、未来が遠くに行ってしまうのかも知れないと思うと心細くなってきた。

卒業したら二人とも長崎で就職して、いつまでも仲良しの親友でいられると思っていたから。

会いたくなればいつでもすぐに会えると思っていたから……。

でもまだそうなると決まった訳じゃないよね。

未来の気持ちも途中で変わるかもしれないし。

未来にはやっぱり長崎にいてほしいな。

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