課長の瞳で凍死します ~羽村の受難~
「そうそう。
 だからさ。

 見合いの席でも座ってられないよ、きっと」
と無茶を言い出す。

「君はほら、可愛いし。
 いいおうちの、ちゃんと育てられたお嬢さんっぽいし。

 いくらでもいい人居るよ。

 僕なんかと結婚しちゃ駄目だよ」
と羽村は雪乃を説き伏せようとしていたが。

 少し酔っているらしい雪乃は笑顔で何度も頷きつつも、特に同意する節はなかった。

 それを見ていた雅喜が、横で、ぼそりと言ってくる。

「こういう女は意外と扱いにくいだろうな。
 一見、素直そうだが、人の話を聞いていない」

 それを聞いた真湖は、ふと不安になった。

「一見、素直そうだが、聞いてないって、私もですかね?」
と振り返ると、

「お前はまず、素直そうでもない」
と雅喜は言う。

 さようでございますか……。
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