課長の瞳で凍死します ~羽村の受難~
「で、でもまあ、可愛い人だったじゃないですか」

「そうだな。
 羽村的にはいいんだろうな。

 あいつ――」
と言ったあとで、真湖の方を見、一瞬の間のあと、

「面食いだから」
と言って、いつものように、テトリスのように食洗機に皿とグラスを詰め込み始めた。

 一回でどれだけ突っ込めて、どれだけ綺麗に洗えるか、に命をかけている節がある。

 他にかけることがあるような気もするのだが……。

 真湖がテレビをつけると、片付け終わった雅喜がやってきた。

「またサスペンス見てんのか」

「いや……見たいわけではないんですが。
 つけるとやってるんですよ。

 昼間とかも」

 世の中の人は、どんだけサスペンス好きなんでしょうね、と呟く。
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