課長の瞳で凍死します ~羽村の受難~
「中学からずっと、周りは女の子ばかりです」

「じゃあ、ちょっと外の世界に出てみたら?
 いい人いっぱい居るよ」

 ああ、と雪乃は、ぼんやりしたまま言ってきた。

「そうですね、確かに。
 真湖さんのご主人とか、めちゃくちゃ格好いいですね。

 今まで見たことがないような方です」

 そう来たか、と手が滑りそうになる。

「知的な感じだし、落ち着いてて、大人って感じだし」

「……落ち着いてるっていうか。
 ハシビロコウみたいだけどね」

「でも――」
と雪乃は、そこで笑わずに、窓の方を見たまま言ってきた。

「でも、なんででしょう。
 私、羽村さんの方がいいなって思っちゃいました」
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