不機嫌な彼と恋のマジックドライビング
「ったく素直じゃねぇなアイツ。

蓮見ちゃんアイツの言ったこと気にすんなよ?

わざわざ昨日蓮見ちゃんの仕事終わるの待ってたバカが素のアイツだから」

片瀬さんの伸ばされた手が頭をポンポンとして私はみるみる赤くなる。

「やっぱ蓮見ちゃん末っ子。
そんな顔させてるの見たらアイツ不機嫌全開だな」

「えっ?」

「何でもないよ。独り言だ。
さっ時間だ。
仕事はじまるぞ蓮見ちゃん。早く上
行かないと遅刻するよ」

クスクス笑う片瀬さんから時計を見て私の顔が青くなる。

「すみません、宜しくお願いします」

もう一度頭を下げると私は慌てて二階に向かって走り出した。

「走って転ぶなよ」

その口調は私の兄たち三人そのもので、子供扱いする片瀬さんを振り替えって口を尖らせながらもう一度軽く会釈した。

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