不機嫌な彼と恋のマジックドライビング

「あの…　香田さん？」

工場の裏のひとけのない場所に私を連れて来ると、香田さんは立ち止まり振り向いた顔は不機嫌だった。

「…片瀬さんにかまわれすぎだ。
それに、すぐ赤くなりすぎ。｣

「あの…｣

至近距離で睨まれて身動きできない。

さっきまでは笑ってくれてたのに…

目を伏せてしょんぼりすると

「別に怒ってない…。
蓮見さんて…
片瀬さんが好きなの…？｣

「えっ…？」


頭上から思いがけない言葉がふってきて、顔を上げるとすぐ目の前に綺麗な大好きな人の顔があって…

あまりの近さにまた一瞬で真っ赤になった私を見て…

香田さんは私の答えを聞かずに奥歯を噛み締め、固く拳を握り背を向けて行ってしまった。

誤解された…？

そう気がついたのは離れていく香田さんの後ろ姿をぼんやりと眺めて数秒たってからだった。