不機嫌な彼と恋のマジックドライビング

茫然としていた私の頭に、大きな温かな手が乗せられた。

見上げると香田さんが優しい眼差しで私を見つめ
「仕事終わったら連絡する。
一緒に帰ろう。じゃあまたな」

とふわりと微笑み会社に入っていった。
香田さんの笑顔に見惚れてぼーっとしていた私の耳に、女の子たちの歓声が飛び込んできた。

「笑った…」

「香田さんが笑ってる！｣

「うわぁヤバイ！
彼女だけに見せる顔ってやつ？」

「蓮見ーっ！
どういうこと！？」

「片瀬さんにまで迫られて」

あっという間にみんなに囲まれて、質問攻めにされている私は、香田さんの笑顔と三度目のキスと、香田さんの改めて聞いた告白に顔を赤らめドｷﾞﾄﾞｷする胸を押さえて気絶しそうだった。