クリスマスの夜に、ただ一つの願い事を
……潤、高校一年生……
……夏休みの終わり頃……
……7月25日……
前に一度潤から聞いた話。
それは、父親の車に乗って家族全員で旅行に行った帰り道の時のことだった。
午後八時。
辺りは暗くなって、夜景が綺麗な時間帯に。
長い渋滞を抜け、もう少しでパーキングエリアに着くところだった。
その時、運転をしていたのは潤の父親。
助手席に乗っていたのは潤の母親。
後部座席に乗って座っていたのは潤だった。
ヘッドライトが照らした先に突然車道を横切ろうとしている黒猫が目前に現れた。
潤の母親が驚いて指を指し、「……猫が!」と叫んだ。
潤の父親は慌ててハンドルを握る両手に目一杯の力を入れて、左に切ろうとしたがバランスを崩し、スピードをつけて車が横転事故を起こした。