あたしを知らないキミへ
カランコロン・・

扉を開けると軽快な音と共にコーヒーの匂いが鼻をかすめた。

「恵美加!こっち!」
そう言って、あたしを呼ぶ声が聞こえてきて、あたしは声のする方に向かった。
「ごめん。待った?」
「全然。俺も今来たとこだから」
そう言って優しく笑った人。

「永田 斗真」(ながた とうま)
あたしの彼氏。

斗真とは大学が一緒で、一つ上の先輩だった。
サークルを通して斗真と知り合って、あたし達は仲良くなった。

第一印象は「よく喋る奴」だった。
斗真の周りには、いつだって沢山の人が集まっていて、皆を和ませてくれた。
初めはなんとも思っていなかったけど、喋っていくうちに、もっと斗真のことを知りたいと思う自分がいた。
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