幼な妻だって一生懸命なんです!
「…そうですか」
なんと答えていいのかもわからずに、素っ気ない言葉が口から出た。
するとその反応が面白くなかったかのように由香さんが話を続ける。
「交際期間がほぼないのにプロポーズされて変だと思わなかったの?」
「変とは思いませんでしたけど…驚きました」
ちょっと呆れ顔の由香さんは小さく息を吐く。
「私が一ノ瀬との結婚して、やけを起したのね、要」
独り言のように呟く声はしっかり私の耳に届いている。
「一ノ瀬と私の結婚がよっぽどショックで、当てつけに誰でも良いと思って結婚したのよ、きっと」
「…そんな」
「じゃなきゃ、交際もしていないアナタにいきなり結婚を申し込む?」
小さな衝撃が大きく膨らんで行く。
それなのに由香さんはもっと大きな爆弾を落とした。
「ねぇ…この間、連れて来た息子。要に似てない?」
「えっ?」
私の動揺する姿を見て面白がっている由香さんの姿が目に入った。
「それって…どう言う意味ですか?」
「だから…この前、私が連れていた息子よ。信じられない?なら本人に聞いてみたら?」
由香さんは、なにを言ってるのか。
言葉は理解できているのに頭の中は理解することを拒んでいる。
「要さんは…知ってるんですか?」
「さぁね」
私の反応を見て満足したのか、由香さんの話はここで終わった。
フラフラとした足取りでバックヤードへ戻る。