クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました


 政略結婚とはいえ、旦那様に対してそんなにはっきり愛していないと宣言しちゃうなんてすごい。
 さすがお母さん。

 でも、お父さんとお母さんは今でも夫婦として一緒にいる。
  
 どうしてだろうと首をひねると、私の疑問に気付いた母が小さく笑った。

「私は本気で離婚するつもりだったのよ。でもお父さんが『あなたの正直で芯の強いところに惚れました。形だけではなく、僕の本当の妻になってください』ってこーんな大きな花束を持って求愛してきて」

 当時を思い出しているのか、母は遠くを見つめながら懐かしそうにつぶやく。

「最初はイヤよって断っていたんだけど、お父さんめげずに毎日大きな花束を抱えて帰ってくるの。もう家じゅう花だらけだしお水をかえるのも大変だし『迷惑だからやめて』って言ったら、お父さん捨てられた子犬みたいにかわいそうなくらいしょぼんとしちゃって」

「それで、ほだされちゃったんだ」

 私がくすくす笑うと、母も一緒に肩を揺らした。

           
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