クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました
とりあえず社長と真一を車に乗せ常務のいる店に急いで向かうと、飲食店の並ぶ道路沿いでおろおろとした表情の常務が待っていた。
その横にはバーテンダーの格好をした若い男もいる。
「常務、遙は……!?」
俺たちが車を降りると、常務はうなずきこちらにかけてくる。
「彼は一階にあるバーの店員なんだが、ここでタクシーを降りた女の子が、ガラの悪そうな男たちに連れ去られたって……」
常務は隣にいるバーテンダーを横目で見ながら説明した。
それを聞いて顔色を変える。
「ガラの悪い男って!?」
若い男に詰めよると、驚いて身を引きながらも答えてくれた。
「多分、最近このあたりで幅を利かせてるチンピラ集団だと思います。ホストクラブで働いていて、客の女の子たちの弱みを握ってお金をたかったり無理やり夜の仕事をさせたり……」
「そんなやつらに遙が連れていかれたのか!?」
怒りのあまり体が震えた。その横で社長が静かに口を開く。
「……死刑だ」
「社長?」
「そいつら全員死刑にしてやる」
静かにそう言ってスマホを取り出す。
その社長の表情は怖いくらい真剣だった。