クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました

「俺と結婚するのはイヤか?」

 俺がたずねると彼女は細い首が飛んでいくんじゃないかと思うほど全力で首を横に振る。

「い、イヤなわけがありませんっ!」

 その必死っぷりがほほえましくて思わず吹き出す。
 素直で純粋でいつも一生懸命な彼女がかわいくてしかたない。

 彼女の後頭部を引き寄せて、触れるだけのキスをした。

「宮下。好きだよ」

 そう言うと、ボッと音をたてて遙の頬が一気に赤くなった。


 なでまわしてだきしめて思いきりかわいがりたい。
 彼女の両親にはきちんと挨拶をしたし、このまま家に連れて帰ってもいいだろうか。

 なんて思っているとどこからか刺すような視線を感じた。
 さりげなく周りを伺えば、カーテンの隙間から社長と真一がじっとりとした視線でこちらを見ているのに気づく。

 ぞくっと背筋が寒くなった。

「部長、どうしたんですか?」

 首をかしげた遙に「なんでもないよ」と首を横に振る。


 あのふたりに認められ、遙と結ばれるにはまだまだ道は険しそうだ。





  
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