極上旦那様ととろ甘契約結婚

実際、同じ部署で働いていた人達とはもう連絡は取っていない。が、一緒にランチをしていた同僚派遣達とは流石にスパッと関係が切れる事はなかった。

会ってはいないが、辞めた後も数度やり取りをしているのだ。大抵は何時果たされるとも知れない「また会おうよ」の会話と互いの近況報告、職場の人の噂話。軽いやり取りをする中で聞かれたから「新しい仕事を始めた」程度の事は伝えていたが、それだけだ。この辺り、私の他人との関わりが苦手なのをよく表している。
勿論だが修吾さんと結婚したこと事は話していない。

ちなみに修吾さんは私と結婚する事を秘密にするつもりはなかったようで、私が「内緒にしておきたい」と言った時はとても驚いていた。
でも私は自分のいない所で噂されたくなかったし、万が一にも修吾さんが「部下に手を出した」的な事を言われる事態も避けたかった。

だから彼女は何処かで会社勤めをしていると思っているはずで、私もあえてその誤解を解いていない。

そんな相手からのいつもの気まぐれな連絡。いつもと違うのは電話だったことだ。

『久しぶり！今日はね、あんまり驚いたから成美に電話しちゃった！』

『驚いた？職場で？』